臨床工学技士・新倉秀雄さんは40年以上も透析治療に携わってきた大ベテラン。長年、透析治療に従事してきて大切にされてきたことは何だったのでしょうか。
(2)早期発見が患者様のお身体の負担を軽減することに繋がる
−患者様のお身体の把握ということでは、シャント・エコーという検査があるそうですね。
(新倉さん)
はい。
シャントは一般的にはバスキュラーアクセスと呼んでいます。
動脈と静脈をつないで血流が多い状態をつくって、そこに針を通して透析治療を行っていますが、このシャントの血流が少なくなると十分な透析治療ができません。
そのために、普段から穿刺をする前に聴診器でシャントの音を聞く等、シャントが良い状況に保たれているのかを確認しています。
その確認の一環で、患者様の誕生月に年一回、シャントの状態をエコーで検査しています。
−血流というのはどのくらい必要なのですか。
(新倉さん)
人によって差がありますが500ミリリットル〜1リットルぐらいだと言われています。
−具体的には血管がどのように悪くなってしまうのですか。
(新倉さん)
血管をホースにたとえると、細くなったり、詰まったような状態だとイメージしていただければと思います。そうなってしまうと、透析治療の効果が低くなってしまうので、できるだけ早く発見して改善する必要があります。
狭窄音と呼んでいますが、血管が狭い部分があると通常よりも高めの音等が聞こえたりします。その時点でシャントエコーによって詳細を確認して対応することで、シャントの状態を正確に把握することができます。
−「何か透析治療がうまくいっていないが、何故だろう?」と気付いてから、シャントが詰まっていることを確認しているのでは遅い場合もあるのでしょうね。
(新倉さん)
そうですね。
詰まってしまって、シャントの作り直しとなると患者様のお身体にも負担となります。
早期に発見すれば、風船治療(シャントPTA) で血管を拡げ、シャントを長持ちさせることも可能です。
患者様のお身体の状態をしっかり把握することが、患者様の負担を軽減することに繋がると考えています。
−今日は、臨床工学技士さんのお仕事が、患者様の体調維持に貢献し、日々の健やかな生活を実現していることがわかりました。今日はありがとうございました。
(新倉さん)
ありがとうございました。
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