新しい医療技術に取り組む中津川共立クリニック。シャント管理の重要性と課題、そして野溝部長が中心となって独自に開発し、学会でも優秀賞を受賞したシャント狭窄評価方法についてお話をうかがいました。
(3)VASPはシャントの狭窄を90パーセント以上の確率で検出
−2009年の第79回東海透析研究会で「バスキュラーアクセス狭窄評価を目的としたVASP(Vascular Access Stenosis detective Pressure)測定法の考案」として発表を行い優秀賞を受賞したバスプ(VASP:Vascular Access Stenosis detective Pressure)について詳しく教えてください。まずはバスキュラーアクセスとは何ですか。
(野溝部長)
バスキュラーアクセスというのが、シャントのことになります。
−いじわるな質問をしますが、どのように優れた検査方法でも、コストが高かったり、患者様の身体に負担があったり、あまりに特殊な技術で検査できる人が限られていたり、検査する人によってバラつきがあるのは、実際の運用には適さないと思います。
(野溝部長)
なるほど。よいご質問をいただきました。ありがとうございます。
VASPは、患者様のシャントのある部分の皮膚の上から、価格も安い道具を使って、ほんの軽く圧を加えて、流れが遮断されたかを簡単に検査できる方法です。
ですから患者様は痛みもなければ、何の負担もありませんし、圧力チェックそのものも練習をした職員が1〜2分でできます。
−針を刺すこともないのですか。
(野溝部長)
大丈夫です。そういうことはないです。
患者様に優しく、スタッフも簡単で、狭窄音のチェックと比較すると狭窄の検出率が圧倒的に上がります。
90パーセント以上の確率で検出できますね。
−90パーセント以上ですか!それはすごいですね。
(野溝部長)
元々は、熟練したスタッフの指と聴診器だけでみていたものを、ある圧力を測定する機械と聴診器での測定に進化させたものです。数万円の機械ですから、比較的導入もしやすいと思いますよ。
−それは、カルテでも管理できるものでしょうか。
(野溝部長)
もちろんです。
図った部位によって、cmH2O(センチメートル・エイチ・ツー・オー)という数字の単位で記録を残せます。
履歴を残していけば、どういう変化が起きてきたかもわかります。
検査する人の主観が入らないので、医師、看護師、技士の誰もが共有できます。
−素晴らしいですね。シャントの作り直しを避けることができそうですね。
(野溝部長)
早く発見してPTA(血管に風船のようなものを入れて膨らませる負担がかからない手術)をやっておくことで、閉塞ということでのシャントの再手術の頻度はグッと減らせることができるでしょう。
−中津川共立クリニックさんで行われている、最新のシャント管理は、検出する確率が高く、患者様のお身体に負担をかけない素晴らしい技術を利用して行われているのですね。今日はありがとうございました。
(野溝部長)
ありがとうございました。
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