新しい医療技術に取り組む中津川共立クリニック。シャント管理の重要性と課題、そして野溝部長が中心となって独自に開発し、学会でも優秀賞を受賞したシャント狭窄評価方法についてお話をうかがいました。
(2)シャントの狭窄を検出することは難しい
−シャントの重要性はわかりました。すると、どのようにしてシャントを守っていけばいいのでしょうか。
(野溝部長)
日々の生活の中で、シャントのある腕に荷物をひっかけない等、シャントを大事にするのは基本的なことになります。
私たち透析医療を提供する側としては、シャントの状態が大事になってきます。
きめ細かくシャントの状態を把握して、悪くなる前兆をいち早くつかまえて、出来るだけ早く対処しなくてはなりません。
−血管の中が見えないだけに難しそうですね。シャントの音を聞くという方法が、いろいろなホームページでアドバイスされているのを見ます。
(野溝部長)
シャントの音を聞くということは、これは私の推測ですが、日本中のほとんどの透析室のスタッフがやっている、もっとも標準的な方法の1つとして日常的に行われていると思います。
−音でわかるものなのですね。
(野溝部長)
シャント音を聞いてみると、狭窄音という特長のある音があります。
この音は、おそらく透析医療施設のスタッフは誰もがわかっている音なのですが、狭窄音が聞こえてシャント造影をやってみて狭窄していたことが確認できることもあれば、狭窄をしていないということもあります。
また、狭窄音が全くないのに著しい狭窄があったり、突然、閉塞したということもあります。
中津川共立クリニックが独自に開発した方法で調査をして、統計をとってみると、何と4割ぐらいしか当たらないのです。つまり6割はハズレなのです。
−6割もハズレですか!
(野溝部長)
ええ。そうです。
狭窄音だけに頼っていた場合は、4割ぐらいしか発見できていないということがわかりました。
早期発見、早期治療という観点からしますと、更にきめ細かく精度の高い検査方法が求められます。
−音を聞く以外の方法を教えてください。
(野溝部長)
中津川共立クリニックでは定期採血をやっていますので、その時にクリアランスギャップというのを使っています。クリアランスギャップ研究会もあるような検査方法で、これは実施している透析施設も結構あると思います。
造影剤を用いる検査もありますが、何度もやるのはお身体に負担もかかることですので、クリアランスギャップのように患者様に全く負担がかからないのは良いですね。
−その他にもありますか。
(野溝部長)
はい。
中津川共立クリニックが独自に開発した、バスプ(VASP:Vascular Access Stenosis detective Pressure)という方法があります。
2009年の第79回東海透析研究会で「バスキュラーアクセス狭窄評価を目的としたVASP(Vascular Access Stenosis detective Pressure)測定法の考案」として発表を行っていまして、優秀賞を受賞しています。
−どのようなものか是非教えて下さい!
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