(3)車椅子だけではない!歩かずに避難できる準備が大切な理由
−歩くのが困難な患者様の避難については、さまざまな工夫がなされているようですね。
(羽根さん)
ふだんから車椅子や杖をご利用になっている等、足元が悪い方が多いです。
また、ふだんは元気に歩いている方でも、歩いての避難が困難になることもあります。
”歩かずに避難する方法”を準備しておくのはとても重要になっています。
−ふだんは歩ける方に対しての準備がなぜ必要なのですか。
(羽根さん)
透析治療中での災害を想定すると、寝ていた状態から急に起き上がると、気分が悪くなる方もおみえなのです。血圧が下がってしまったり、心臓疾患の方も多いので急激な移動は困難です。災害時には恐怖で足が動かないことも考えられます。
ふだんの歩行は問題なくても、とっさに逃げるのは難しくなることを想定しなくてはなりません。
−なるほど。車椅子型の階段を降りる避難道具も準備されたそうですね。
((羽根さん)
はい。セーフエバキュエーションチェアという階段下降避難具を透析室に5機設置しています。
災害時には安全かつ迅速に多くの患者様を避難させることが求められます。
このセーフエバキュエーションチェアは一人のスタッフで一人の患者様を階段を使って階下へ避難させることができます。
スタッフ同士でも練習していますが、避難が楽に安全に出来ますね。
地元の消防署の方も注目してくださったような素晴らしい避難道具です。
−患者様の反応はいかがでしたか。
(羽根さん)
初めて使う避難道具ということで、恐怖心と不安があったようです。
実際に経験していただいて、安全に降りられることをご理解いただくことが出来ました。
−避難訓練全体としては、患者様からどのような感想が多かったですか。
(羽根さん)
「思った以上に早く外に逃げることができた」という感想が多かったです。
それと「本当に地震があった時に、どのような態度でいるのがいいのか、どうやって外へ避難することができるのか体験してよくわかった」という声もありました。
−素晴らしいですね。訓練の目的を達成したと言えるのではないでしょうか。
(羽根さん)
はい。
ただし、スタッフ側としては課題も見つかりました。検討をして、次の避難訓練では改善したいと思います。
−実際の災害を想定した素晴らしい取り組みだと感じました。今日はありがとうございました。
(羽根さん)
ありがとうございました。
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