(2)患者様もスタッフも訓練の経験が必ず役立つ
−本当に透析治療を中断しての避難ということで、写真からも緊張感の高い様子が伝わってきます。特に、腕に針が刺さっている状態の写真には驚きました。
(羽根さん)
出来るだけ実際の状況に近い形ということですが返血はしています。
留置針はそのままで、回路の途中で止めるべきところを止め、はさみでチューブを切断しています。さらに、切断したままだと血液が出やすいので、先端部分を患者様自身で持っていただき、スタッフがつける手袋を患者様の手元に巻いて、飛び散らないようにして避難します。
−本当の災害時には返血しないことも考えられるのですか。
(羽根さん)
はい。返血しないで回路を切って、出来るだけ早く避難する状況も想定されます。逆に、返血をして針も抜いて(出血を防ぐための)ベルトを巻いて避難する場合もあります。
−訓練に参加するか否かは患者様の選択によるものですか。
(羽根さん)
はい。患者様の意思確認を書面にて行っています。事前に説明をして、十分にご理解いただいた上でご参加いただいています。
結果的には、患者様の8割以上にご参加していただきました。
−患者様にとっては、怖いという気持ちもあると思いますが。
(羽根さん)
はい。初めて経験される患者様の中には不安をもたれる方もおみえですね。中津川共立クリニックでは10年前から、年に1回はこのような避難訓練を実施しています。ですから、何度も(この訓練を)経験されている患者様もおみえです。
当たり前のことですが、経験のある患者様は動きがスムーズですし、初めての患者様の中には戸惑う方もおみえです。私たちからは丁寧な説明や安心していただける誘導を心がけています。
−このような避難を経験できるのは良いことだと思います。
(羽根さん)
ありがとうございます。実際に避難訓練をすると、さらに経験の重要性を実感していただけますね。
それはスタッフも同じです。初めてのスタッフはもちろんのこと、経験のあるスタッフの緊張度も高いです。経験するのとしないとでは実際の災害時の行動が大きく違ってくると思います。
−一度、訓練をすればいいとう簡単なものではなさそうですね。
(羽根さん)
私自身でマニュアルを作っていた部分でも、いざとなると間違ってしまったこともありました。
実際に災害が発生した時に備えて、身体に叩き込んでおくこと必要があると感じています。ですから、スタッフのみの練習も行っています。
−なるほど。スタッフの皆さんの日々の訓練が安全な避難を実現するのですね。
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