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■すでに透析治療をはじめている方

(4)今、シャントは大丈夫ですが、これから不安です

シャント音がときどきかわったような気がするときがあります。シャント音を気にしたほうがよいでしょうか
よいところに気づいていただきました。

シャント血管に狭いところができて血液の流れが悪くなってくると、シャント音が変化(キュンキュンという高い音になったり、音が小さくなったり)します。
日頃からシャントの音を聞いていて、変化しないかどうかを確認する習慣をつけて頂くと、シャントが止まってしまう前に対策をとれることがありますので面倒でなければ、ぜひシャント音をきくのを習慣にして下さい。

そして、シャント音に変化があった場合には、主治医の先生や透析室のスタッフに伝えて下さい。

さて、シャント音と同じような言葉にスリル音というのがあります。
シャント音とスリル音は基本的には同じものだとお考えいただいて差し支えありません。

スリル(thrill)「振動」の意味で、シャントの吻合部などをさわったときに、ビリビリあるいはザーザーする感じが手に伝わってくるのがスリルです。
けれども、シャントを直接耳に付けたり、聴診器を使ったりして音を聞いたときのザーザーも、ご質問のように「スリル音」と呼ばれたりしています。

シャントがよく発達していて、たくさんの血液が流れていれば振動(スリル)があり、スリル音が聞こえるわけですね。
ですから、シャント音はスリル音と同じと考えて頂いていいわけです。
シャントがつぶれるとはどのようなことですか?
シャントが止まってしまう原因の多くは、吻合部(手術をしたところ)にあります。

この部分が細くなってきたり、硬くなってきたり(その両方のことが多いのですが)して、血管の中で血液が固まってしまい、シャントが止まってしまうのです。
この状態を「シャントがつぶれる」と表現します。

止まってしまうと透析ができなくなってしまいますから、シャントをなおす手術が必要となります。

シャントを長持ちさせることはとても大事なことです。

そのため、シャントの血管を強く圧迫しないようにという指導がなされるのです。

では、透析終了後の止血の圧迫はいいのでしょうか?

圧迫しないことには止血ができませんから、押さえざるを得ないのですが、きつく圧迫することはお勧めできません。

穿刺した部分から血液が漏れ出てこない、最小限の力で圧迫をしていただきたいのです。

このような圧迫の仕方をすると、シャントの血液は流れていますから、圧迫をした状態でも、ザーザーする感じ(スリル)が感じられるはずです。
シャントをしている側の手で重たい物をもつのは良くないのでしょうか?

シャント側の手で重たいものを持たないように、という指導を私たちのクリニックではしておりません。

したがって、どのくらい重いものがいけないか?というご質問には、
「いくらでも重いものを持ってくださって結構です」
というお答えになります(これはちょっとオーバーな表現ですが)。

実際にシャント側の手で重いものを持つことによってシャントがダメになることはないと思います。

いけないのは、シャントの血管を圧迫することです。

ですから、

●シャント側で腕まくらをする
●きついサポーターやリストバンドをする
●腕にバッグなどを掛けてお持ちになる

とかいったようなことを避けていただければ、あとは何をしてもいいですよ、とお話ししております。

私たちのクリニックには運送業の仕事をしている患者さんがいて、かなり重い荷物でも持ち上げています。

また、患者さんの会(腎友会といいますね)でボーリング大会があり、利き腕にシャントをお持ちの方も、参加されています。
シャントはどのくらいもちますか?
「その方によります。」というのがお答えになってしまいます。

10年以上もっている方もいらっしゃいますが、早い方では半年くらいで作り直しが必要となることもあるのです。

もちろんシャントが長持ちして、手術をしなくていい期間が長いのにこしたことはないのですが、シャントはいつかは止まってしまうものです。

一度閉塞してしまうと、再閉塞をしやすいか?ということも、よく質問を受けますが、これも、その方の血管の状態と血液の状態によります。

血液の状態でお話しをすると、糖尿病をお持ちの方はどうしても血液が固まりやすいために、シャントが閉塞しやすいということがあります。

ですから、糖尿病を原疾患とされている方の場合、たとえばですが、シャントが7年間もったのであれば、(作り直しは)決して早い方ではないと思います。
シャント側の腕で血圧測定や採血、腕時計などしてはいけないのですか?
血圧測定や採血を一度でもしたら、シャントが止まってしまうということはないと思いますが、シャントを長持ちさせることは、透析治療にとってはとても重要なことですので、やはり避けておきたいことです。

まず、血圧測定と採血についてです。

前腕にシャントがある場合に、上腕を締め付ける血圧測定が好ましくないのは、血圧を測定するときに(手動であっても自動の血圧計でも)、もっとも加圧をされたときにはシャントの血流が止まっているからです。
血圧の測定が終了すれば、またシャント血流は再開をしますから、上に書いたように、それだけで止まってしまうことはないと思いますが、シャントに負担をかけることにかわりはありません。
基本的に、シャント側の腕で血圧を測ることは避けていただきたいと思います。

採血についても同様です。
採血の時には駆血帯というゴムで腕をしばりますが、この時にはシャントの血液が止まっているか、あるいは弱くなっているのです。
透析で使用する血管に針を刺して採血をすることは、もちろん避けていただきたいですし、それ以外の血管から採血をするのも、上記のようにシャントには好ましくありません。
やはり、(透析の時以外の)採血はシャント側の腕で行わない方がよろしいと考えます。

次に、腕時計についてです。

シャントの吻合部が手首にあって、ちょうど腕時計があたる位置の場合には、シャントを圧迫することになりますからやめていただきたいと思います。
シャントの吻合部が、手首よりも肘に近い場所にあって、仮に腕時計をしてもシャント血管を圧迫する可能性がなければ、シャント側の腕に時計をしていただいても、差し支えはありません。

シャントの血管は、吻合部だけでなくその下流も、圧迫はできるだけ避けたいものです。穿刺をするときや検査(シャント造影)の時の駆血、透析終了後の止血以外には、なるべく圧迫をしないことを心掛けてください。

(5)シャントを作り直さないといけません

シャント音がときどきかわったような気がするときがあります。シャント音を気にしたほうがよいでしょうか
よいところに気づいていただきました。

シャント血管に狭いところができて血液の流れが悪くなってくると、シャント音が変化(キュンキュンという高い音になったり、音が小さくなったり)します。
日頃からシャントの音を聞いていて、変化しないかどうかを確認する習慣をつけて頂くと、シャントが止まってしまう前に対策をとれることがありますので面倒でなければ、ぜひシャント音をきくのを習慣にして下さい。

そして、シャント音に変化があった場合には、主治医の先生や透析室のスタッフに伝えて下さい。

さて、シャント音と同じような言葉にスリル音というのがあります。
シャント音とスリル音は基本的には同じものだとお考えいただいて差し支えありません。

スリル(thrill)「振動」の意味で、シャントの吻合部などをさわったときに、ビリビリあるいはザーザーする感じが手に伝わってくるのがスリルです。
けれども、シャントを直接耳に付けたり、聴診器を使ったりして音を聞いたときのザーザーも、ご質問のように「スリル音」と呼ばれたりしています。

シャントがよく発達していて、たくさんの血液が流れていれば振動(スリル)があり、スリル音が聞こえるわけですね。
ですから、シャント音はスリル音と同じと考えて頂いていいわけです。

(6)その他(具体的な症状等)

最近透析をはじめました。シャント側の腕に真っ赤な湿疹ができてしまいました。透析特有の症状でしょうか?
透析をお受けになっている方を悩ませる合併症の一つにかゆみがあります。
かゆみは、発疹がある場合と、ない場合とがありますが、どちらかというと、発疹がなく、皮膚が乾燥してカサカサしてかゆい、という場合が多く見受けられます。
また、かゆみの原因は、尿毒素によるものと考えられていて、かゆみの範囲は広いことが多いのです。

「湿疹」そのものの原因は、いまだに解明されていません。
また、透析をお受けになっている方には、湿疹をはじめとした皮膚病変が出ることが多いようです。

診察していないのでご質問の湿疹の原因を特定することはできません。
あくまで予想の範囲として回答させていただきます。

ご質問の場合は、全身ではなく、比較的狭い範囲のものです。
また、かゆみの部位には、真っ赤な湿疹ができている、というのも透析の合併症のかゆみとしては、典型的ではありません。

透析をお受けになっている方で、皮膚に副作用が出るとすると、まず考えなければいけないのは、シャントを消毒するときの消毒薬です。
これも他の部位にも湿疹がでていれば可能性が低くなります。

また、これはまれなケースですが、透析中に使用するヘパリンが悪さをして、かゆみをともなう発疹が出た患者さんを診たことがあります。
この患者さんの場合には、ヘパリンを低分子ヘパリンに切り替えたところ、すぐに皮膚はきれいになりました。
けれども、こういった可能性は、そうそうあるものではありません。

また、飲み薬などによる薬疹ですが、これは皮膚科の先生が見落とすことはまずありません。

このように、さまざまな原因が予測されますが、まずは、主治医の方にしっかりと診ていただき、対応するのがよいと思われます。
右腕にシャントがありますが、交通事故で右腕を骨折しました。現在は左足にカテーテルを入れ透析を行ってます。今後の対策はどのようにしたらいいのでしょうか?
シャントがなくなってしまうと透析治療をお受けになることができなくなります。
これは大変なことです。
現在は足の付け根のところにカテーテルを入れているとのことですが、このカテーテルで長期間透析を続けることはできませんから、いずれ近いうちにシャントを作り直さなければなりません。

まず、骨折に対する手術をお受けになって、その手術がうまくいった後、右にシャントを作り直す方法があります。
骨折が治るまでには時間がかかりますから、それまで待っていられなければ左の腕へシャントを作ることを考えます。

この場合、左の腕に発達したいい血管がないと手術が難しくなったり、人工血管を移植してシャントを作ることを検討しなければならないかも知れません。

また、よい血管があったとして、左利きの場合は、手術をお受けになることによって、多少日常生活が不便になるかも知れません。

右腕も左の腕もシャントが作れない、ということになると、今度は太もものところや胸にシャントを作ることが考慮されます。
これらの手術は、腕にシャントを作る手術に比べて、大がかりになりますからお体への負担も考えなければなりません。

ぜひ主治医の先生に説明をお受けになることをおすすめいたします。
シャントの発達が心臓に負荷をかけているといわれました。実際にそのようなことはあるのですか?
シャントが発達しすぎて心臓に負担をかけ、その結果として心胸比が大きくなることは あり得ることです。

心胸比が大きくなった場合、まっ先に考えるのはドライウェイトが不適切ではないかということです。
そのため、減量をするのです。
しかし、減量の後、心胸比が大きくなってしまったというのは、ドライウェイトだけが原因ではないということになります。

シャントが発達しますと、どのようになるかといますと、シャントの音が首の血管まで響いている状態 等がおこります。
こういったシャントを「巨大シャント」と呼んだりしますが、心臓に負担をかけることが知られています。

シャントの血流量を測る検査をお受けになることで、現在の状態がわかります。
シャントの血流量は1分間に1リットルもあれば十分です。
この血流が1分間に3-4リットルになると、心臓に負担となることが報告されています。

治療は、バンディングといって、シャントの血流量を減らす手術を行ったり、現在のシャントを止めてしまって、新たにシャント(現在のものより小さなもの)を作り直す手術をしたりします。
どのような治療法が適しているのかは、主治医の先生と相談してみてください。

なお、現在自覚症状がなく、体調も悪くない場合についてですが、もしシャントが原因で心胸比が大きくなっているのであれば、そのシャントをそのまま放置することはお勧めできません。
腎臓もそうですが、心臓も自覚症状が出てきたときには、かなり進行してしまっていることが多いからです。
シャント側の血管が、最近、大きく蛇行しています。肘の内側のリンパ節、上腕部のリンパ節等の腫れが見受けられますが、それも関係あるのでしょうか?
血管が柔らかな方の場合には、シャント血管が発達をして、蛇行することがよくあります。

ただ、血管の発達や蛇行がもとでリンパ節が腫れた、という方をみたことがありません。

また、リンパ節は腋の下には豊富にありますが、肘の内側や上腕部には腫れるほどのリンパ節はないように思われます。

それで、まずは本当にリンパ節なのかどうかを確認することが大切だと思います。

もっとも簡単なのは超音波で診ていただくことです。

また、これがリンパ節であったとすると、腋の下のリンパ節も腫れると思われますが、そこも腫れているかも気になるところです。

次に確実にリンパ節だったとして、これが腫れる原因がシャント血管の発達のせいなのかどうかを見極めたいと考えます。

シャント血管は静脈で、リンパの流れと同様に、末梢から心臓へ向かって流れていきます。

シャント血管が発達しすぎると、本来の末梢から心臓へ向かう血液の流れがかえって滞ってしまい、そのためにリンパが腫れることは理屈の上ではあるのかも知れません。

ただし、先ほども書きましたが、そのようなケースをみたことがありません。

一般的にリンパ節が腫れた場合には、バイ菌が入っていないかどうか(風邪の時などにのどのリンパが腫れますよね)や、リンパ腫というリンパ節の悪性腫瘍がないかどうかなどを考えます。

あまり大きなリンパの腫れの場合には、生検といって、そのリンパ節を採って顕微鏡で見る検査が必要となることもあり得ます。

主治医の先生によく相談をしてみてください。
最近シャント造影をした際、医師から、動脈にカルシウムが付着して動脈硬化が進行していると言われました。前から言われていましたが、進行がかなり進んでいるとの説明だったので、心配になってきました。原因は何なのでしょうか。
●動脈の石灰化について

シャント造影をしたときに動脈の石灰化(カルシウムの沈着)が認められることは、決して珍しいことではありません。
問題は「以前に比べて進行している」ということです。

透析をお受けになっている方の、異所性石灰化、つまり、本来カルシウムが沈着しないところに沈着してしまう現象は、血管、とりわけ動脈にもっともよく見られます。
動脈は全身にありますが、異所性石灰化がみられやすいのは太い血管で、大動脈の石灰化の頻度が高いことが知られています。

シャント造影をしたときに、腕の動脈にも石灰化が認められることが多いのは、上に書いたとおりですが、この場合、反対側、つまり、シャントのない側の動脈の石灰化はそれほどでもないことがしばしばあります。
どうやら、「全身の合併症としての異所性石灰化」とは別に、シャント血流の影響からくる石灰化もあるようなのです。

ですから、腕の動脈の石灰化をきちんと評価するためには左右両方のレントゲンを撮って、比較することも大切なのです。

もし、シャント側の動脈の石灰化が進行していて、反対側の動脈の石灰化がそれほどでもなければ、「シャントの血流の影響が大きい」と判断します。

●対策について

異所性石灰化のもっとも大きな原因は、カルシウムとリンの異常です。
カルシウムとリンの値を掛け合わせた数値(カルシウムリン積といいます)が、70を超えると異所性石灰化の危険が大きくなる、カルシウムリン積は60以下に抑えるべきだ、という話をお聞きになったことがあるかも知れません。

進行をなるべく食い止めることは大切です。
上に書きましたように、もっとも影響の大きいのがカルシウムとリンですので、血液の検査の結果をみながら、良好なコントロールになるように心がけてください。
これについては主治医の先生と、よく相談をしてみてください。

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